Share
「人生がうまくいかない」と感じるとき、アドラー心理学から考える
「何をやってもうまくいかない」
「周りの人は前に進んでいるのに、自分だけ取り残されている気がする」
「仕事も人間関係も思いどおりにならない」
「こんな人生になるはずじゃなかった」
そんなふうに感じることはないでしょうか。
一つのことがうまくいかなかっただけなら、「次は頑張ろう」と思えることがあります。でも、仕事、人間関係、恋愛、お金、将来など、いくつもの悩みが重なると、「この問題がうまくいかない」ではなく、「自分の人生そのものがうまくいっていない」と感じることがあります。
そして、「もっと頑張らなければ」「自分を変えなければ」と思うほど、かえって苦しくなることもあります。
では、アドラー心理学では「人生がうまくいかない」という感覚をどのように考えるのでしょうか。
アドラー心理学には、過去の原因だけで人間を説明するのではなく、「今、自分は何を目指して行動しているのか」を考える目的論があります。また、劣等感、ライフスタイル、課題の分離、勇気づけ、共同体感覚など、人生への向き合い方を考えるためのさまざまな視点があります。
大切なのは、「人生がうまくいかないのは、あなたの考え方が悪い」と結論づけることではありません。
むしろ、
「自分では変えられないものは何だろう?」
「今の自分に変えられるものは何だろう?」
「自分は本当は、どんな方向へ生きたいのだろう?」
と、一つずつ整理していくことです。
この記事では、「人生がうまくいかない」と感じるとき、アドラー心理学からどのように考えられるのかを、日常の具体例を交えながらわかりやすく見ていきます。
「人生がうまくいかない」とは、どういう状態なのか
そもそも、「人生がうまくいかない」とは何を意味するのでしょうか。
仕事で失敗した。恋愛が終わった。人間関係がうまくいかない。思っていたほど収入が増えない。やりたいことが見つからない。
こうした出来事があると、「人生がうまくいかない」と感じることがあります。
でも、よく考えてみると、「人生がうまくいっている」という状態には、絶対的な基準があるわけではありません。
仕事で成功していることなのか。結婚していることなのか。お金があることなのか。夢を持っていることなのか。毎日楽しいことなのか。
人によって答えは違います。
つまり、「人生がうまくいかない」と感じたときには、その奥にある「自分はどんな人生なら、うまくいっていると思えるのか」という基準について考えることも大切です。
「思い描いていた人生」と現実の差が苦しくなる
私たちは、知らないうちに「こういう人生になるはず」というイメージを持っています。
30歳までには結婚しているはず。
仕事ではもっと評価されているはず。
もっとお金を持っているはず。
もっと自信のある大人になっているはず。
昔思い描いていた自分と、今の自分。その間に大きな差を感じると、「こんなはずではなかった」という気持ちが生まれます。
ここでアドラー心理学の「劣等感」という考え方が関係してきます。
アドラー心理学の「劣等感」から考える
劣等感というと、「自分は人より劣っていると思うこと」というイメージがあるかもしれません。
しかし、アドラー心理学では、現在の状態と、自分が理想としている状態との間に差を感じることも劣等感と関係します。
「もっと仕事ができるようになりたい」
「もっと人とうまく関われるようになりたい」
「もっと自由に生きたい」
こうした思いも、今の自分と理想の状態との間に差があるから生まれます。
つまり、劣等感そのものは必ずしも悪いものではありません。
「まだ足りない」は成長の出発点にもなる
「今のままでは足りない」と感じたからこそ、学んだり、工夫したり、挑戦したりすることがあります。
仕事がうまくできなかったから、勉強する。
人との会話が苦手だから、少しずつ経験を増やす。
今の生活に納得していないから、新しい選択肢を探す。
このように、劣等感は成長するきっかけにもなります。
問題になるのは、「自分には足りないところがある」という感覚から、「だから自分には価値がない」「どうせ何をしても無理だ」と結論づけてしまうことです。
「うまくいかなかった」と「自分はダメ」は違う
人生がうまくいかないと感じるとき、私たちは一つの出来事を自分全体の評価に広げてしまうことがあります。
仕事で失敗した。
だから、「自分は仕事ができない」。
恋愛が終わった。
だから、「自分は誰からも愛されない」。
やりたかったことを諦めた。
だから、「自分の人生は失敗だ」。
でも、これらは同じことではありません。
「今回の仕事で失敗した」という出来事と、「自分は仕事のできない人間」という評価は違います。
「一つの恋愛が終わった」という出来事と、「自分には愛される価値がない」という評価も違います。
人生で起こった出来事を、自分という人間全体の価値にまで広げないことが大切です。
人と比較すると「人生が遅れている」ように感じる
「人生がうまくいかない」と感じる大きなきっかけの一つが、他人との比較です。
友人が結婚した。
同期が昇進した。
同世代の人が家を買った。
SNSでは、自分より若い人が成功している。
すると、「自分だけ遅れている」と感じることがあります。
でも、「遅れている」という言葉には、必ず比較する基準があります。
誰と比べているのでしょうか。
友人でしょうか。世間でしょうか。SNSで見かけた人でしょうか。それとも、昔の自分が思い描いていた人生でしょうか。
他人の人生は、自分の人生の進捗表ではない
誰かが30歳で結婚したからといって、自分も30歳までに結婚しなければならないわけではありません。
誰かが25歳で起業したからといって、自分も同じ年齢で何かを成し遂げなければならないわけでもありません。
人には、それぞれ違う条件があります。
育った環境も、得意なことも、大切にしているものも、人生で起きる出来事も違います。
他人を見ることは、自分の可能性を知るきっかけにはなります。
でも、他人の人生をそのまま自分の採点基準にすると、どこまで進んでも「まだ足りない」と感じやすくなります。
アドラー心理学の「目的論」から考える
アドラー心理学の大きな特徴の一つが、「目的論」です。
私たちは、うまくいかないことがあると、原因を探します。
「昔失敗したから、自信がない」
「親の育て方のせいで、人付き合いが苦手」
「才能がないから、成功できない」
原因を考えることが役立つ場面もあります。
でも、アドラー心理学では過去の原因だけではなく、「今、その行動はどんな目的に向かっているのか」という視点も持ちます。
「なぜこうなった?」だけでなく「何を避けようとしている?」と考える
たとえば、「自分には才能がないから挑戦できない」と考えているとします。
そこでもう一つ、
「挑戦しないことで、何を避けられているだろう?」
と考えてみます。
失敗すること。
人から笑われること。
自分に才能がないと確定してしまうこと。
期待されること。
もしかすると、「挑戦しない」という行動によって、こうした怖さから自分を守っている部分があるかもしれません。
もちろん、これは「自分が悪い」という意味ではありません。
今の自分がどのような方法で人生に向き合っているのかを知るための問いです。
「過去にこうだった」から「未来もこうなる」とは限らない
私たちは、過去の出来事から未来を予測します。
以前、人間関係で傷ついた。
だから、これからも人を信用できない。
以前、仕事で失敗した。
だから、新しい仕事も失敗する。
以前、夢を諦めた。
だから、自分は何をやっても続かない。
でも、「過去にそうだった」という事実と、「未来も必ずそうなる」という結論は別です。
過去そのものを変えることはできません。
でも、過去を持った自分がこれからどのように行動するかについては、考える余地があります。
そこに、アドラー心理学の主体性という考え方があります。
「自分はこういう人間だから」と決めつけていない?
人生がうまくいかないとき、私たちは自分にラベルを貼ることがあります。
「自分は根性がない」
「自分は人付き合いが苦手」
「自分は飽きっぽい」
「自分は成功できないタイプ」
こうした言葉を繰り返していると、自分の性格が完全に固定されたもののように感じてきます。
ここで関係するのが、アドラー心理学の「ライフスタイル」です。
ライフスタイルは「これまで使ってきた生き方のパターン」
アドラー心理学におけるライフスタイルとは、一般的な生活習慣という意味ではありません。
自分をどのような人間だと思っているのか。他者をどのような存在だと思っているのか。世界をどのような場所だと思っているのか。そして、その中でどのように行動しているのか。
そうした、その人なりの考え方や行動のパターンを意味します。
たとえば、
「失敗してはいけない」
という考えが強い人は、失敗しそうなことを避けるかもしれません。
「人に嫌われてはいけない」
と考える人は、いつも相手に合わせるかもしれません。
「人より上でなければ価値がない」
と考える人は、どこへ行っても競争で疲れるかもしれません。
「性格だから仕方ない」から少し離れてみる
「自分はこういう性格だから」と考えると、変えられないように感じます。
でも、
「自分はこれまで、こういう方法で生きてきた」
と考えるとどうでしょうか。
今まで使ってきた方法なら、別の方法を試す余地が生まれます。
いきなり別人になる必要はありません。
いつも断れなかったなら、一度だけ小さなお願いを断ってみる。
失敗が怖くて始められなかったなら、失敗しても大きな問題にならない小さなことから始める。
誰にも相談しなかったなら、一人だけに話してみる。
小さな選択から、別の生き方を経験することができます。
「自分では変えられないこと」まで背負っていない?
人生がうまくいかないと感じるとき、自分ではコントロールできないことまで何とかしようとしている場合があります。
親が自分をどう評価するか。
恋人が自分をどう思うか。
上司が自分を評価してくれるか。
友人が自分を好きでいてくれるか。
社会が自分をどう見るか。
自分がどれだけ努力しても、他人の考えや感情を完全に決めることはできません。
ここで役立つのが「課題の分離」です。
課題の分離で「自分が引き受けること」を整理する
課題の分離とは、「これは誰の課題なのか」を整理する考え方です。
たとえば、転職するかどうか悩んでいるとします。
親が「今の会社を辞めないほうがいい」と言うかもしれません。
友人が「絶対転職したほうがいい」と言うかもしれません。
意見を聞くことはできます。
でも、最終的にその仕事を続け、その結果を生きるのは自分です。
だから、自分が引き受けるべき課題については、自分自身で考える必要があります。
一方、自分の決断を見て親がどう感じるか、友人がどう評価するかまで、完全にコントロールすることはできません。
課題の分離は「全部一人でやること」ではない
ただし、課題の分離は「人に頼ってはいけない」という意味ではありません。
誰の課題なのかを整理したうえで、必要なら助けを求めることができます。
相談する。
一緒に考えてもらう。
情報をもらう。
必要なら共同の課題として協力する。
自分の人生に責任を持つことと、一人ですべてを抱えることは同じではありません。
「人生がうまくいかないのは全部自分の責任」ではない
ここは、とても大切です。
アドラー心理学には、主体性や自己決定を重視する側面があります。
しかし、それを「人生がうまくいかないのは全部本人の選択のせい」と理解してはいけません。
私たちには、自分では選べなかった条件があります。
生まれた家庭。
社会環境。
経済状況。
身体的な条件。
偶然起こった出来事。
他者から受けた影響。
自分一人ではどうにもできない社会的な仕組みもあります。
だから、すべてを「自分の考え方が悪い」で片づける必要はありません。
重要なのは、自分では変えられないものがあることを認めたうえで、「それでも今、自分が選べる部分はどこにあるだろう?」と考えることです。
「もっと頑張れば人生はうまくいく」とは限らない
人生がうまくいかないと感じると、「もっと頑張らなければ」と思うことがあります。
でも、すでに十分頑張っている場合もあります。
方向が合っていないのに努力量だけを増やせば、さらに疲れてしまいます。
同じ方法を繰り返しているなら、頑張る量ではなく方法を見直す必要があるかもしれません。
休む必要がある場合もあります。
誰かに助けを求める必要がある場合もあります。
「頑張る」以外にも選択肢はあります。
「変える」「受け入れる」「離れる」を分けて考える
うまくいかないことに対して、いつも「克服しなければ」と考える必要はありません。
変えられるものなら、変える。
自分では変えられないものなら、受け入れ方を考える。
自分を傷つけ続ける環境なら、距離を取ることを考える。
問題によって必要な行動は違います。
何でも努力で突破することだけが、人生に向き合うことではありません。
「自分には価値がない」と感じるとき
人生が思いどおりにならないと、自分自身の価値まで疑いたくなることがあります。
仕事がうまくいかない。
恋愛もうまくいかない。
夢も叶っていない。
だから、
「自分には何もない」
と思う。
でも、仕事や恋愛の結果と、人間としての価値は同じではありません。
できないことがある。
まだ達成していないことがある。
失敗したことがある。
それらは、今の自分についての一部の事実です。
自分という人間のすべてではありません。
自己受容とは「今の自分で諦めること」ではない
ここで、アドラー心理学の「自己受容」について考えてみます。
自己受容とは、
「今の自分は完璧だ」
と思い込むことではありません。
できることも、できないことも含めて、今の自分を現実として認めることです。
「今の自分には、ここが足りない」
と認めても構いません。
そのうえで、
「では、この自分で何ができる?」
と考えます。
現実を否定しないからこそ、次の一歩を具体的に考えることができます。
人生を変えるために必要なのは「自信」より「勇気」かもしれない
「もっと自信があれば、人生を変えられるのに」
と思うことがあります。
でも、最初から自信を持って新しいことを始められる人ばかりではありません。
転職するのは怖い。
人に話しかけるのも怖い。
自分の意見を言うのも怖い。
失敗するのも怖い。
アドラー心理学で重視されるのは、「絶対に成功できる」と思う自信よりも、自分の課題に取り組むための「勇気」です。
勇気とは「怖くないこと」ではない
勇気がある人は、何も怖くない人ではありません。
不安があっても、自分にできる行動を選ぶ。
失敗する可能性があっても、必要なことに取り組む。
わからなければ助けを求める。
間違ったら、必要なところを修正する。
こうした姿勢も勇気です。
だから、「自信がついてから人生を変える」のではなく、「自信はないけれど、小さく試してみる」という順番でも構いません。
大きく人生を変えなくてもいい
「人生がうまくいかない」と感じると、人生を一気に変えたくなることがあります。
仕事を辞める。
引っ越す。
人間関係を全部変える。
新しい自分になる。
もちろん、大きな変化が必要なこともあります。
でも、いつも大きな決断が必要とは限りません。
一日30分だけ勉強する。
一つだけ断ってみる。
一人に相談する。
SNSを見る時間を少し減らす。
ずっと先延ばしにしていたことを10分だけやる。
小さな選択も、人生の方向を変える一部になります。
「人生を変える」より「次の一歩」を考える
「どうすれば人生を変えられる?」
という問いは、とても大きな問いです。
大きすぎて、何をすればいいかわからなくなることがあります。
そんなときは、
「今日、何なら変えられる?」
と問いを小さくします。
人生全体ではなく、今日の一つの行動を見る。
アドラー心理学の主体性を日常に取り入れるなら、このくらいの小ささからでも十分です。
人生の3つの課題から見直してみる
アドラー心理学では、代表的な人生の課題として「仕事」「交友」「愛」という3つのライフタスクを考えます。
人生がうまくいかないと感じたとき、「人生全部」を一つの問題にするのではなく、それぞれを分けて考えてみることができます。
仕事の課題
仕事そのものが苦しいのか。評価されないことが苦しいのか。人と比較しているのか。働き方が自分の価値観と合っていないのか。
交友の課題
人から嫌われることを恐れていないか。友達の数で自分の価値を決めていないか。本音を言えない関係ばかりになっていないか。
愛の課題
相手に認めてもらうことで自分の価値を確認しようとしていないか。相手をコントロールしようとしていないか。自分を犠牲にしすぎていないか。
こうして分けてみると、「人生が全部ダメ」ではなく、「今はこの部分で悩んでいる」と見えやすくなります。
「人生全部がダメ」ではなく「今、困っていることがある」
これは、とても大きな違いです。
「人生がうまくいかない」
と考えると、すべてが問題に見えます。
でも、
「今、仕事で困っている」
「今、人間関係で悩んでいる」
「今、自分の進みたい方向がわからない」
と具体的にすると、扱える問題になります。
人生全体を評価するのではなく、今目の前にある課題を一つずつ考えていく。
それだけでも、見え方が少し変わります。
「うまくいく人生」とは何だろう?
ここでもう少し深く考えてみましょう。
人生がうまくいくとは、どんな状態でしょうか。
失敗しないこと?
お金に困らないこと?
人から評価されること?
結婚すること?
夢を叶えること?
もちろん、どれも大切なことかもしれません。
でも、どんな人生にも思いどおりにならないことがあります。
仕事が順調でも、人間関係で悩むことがあります。
家庭が幸せでも、将来が不安になることがあります。
夢を叶えても、次の悩みが生まれることがあります。
つまり、「何も問題がない人生」を成功とするなら、幸福はかなり難しいものになります。
「問題のない人生」より「問題に向き合える人生」
アドラー心理学から考えるなら、人生の課題そのものを完全になくすことより、課題が起きたときにどのように向き合うのかが重要になります。
うまくいかないことがあった。
そのとき、
自分を全部否定するのか。
誰かを責め続けるのか。
それとも、
自分にできることを考えるのか。
必要なら助けを求めるのか。
違う方法を試してみるのか。
人生の問題をすべて防ぐことはできなくても、問題との関わり方については少しずつ学ぶことができます。
人生と「共同体感覚」
アドラー心理学で中心的な考え方の一つが「共同体感覚」です。
自分は共同体の一員である。
他者は仲間になりうる。
そして、自分にも共同体の中でできることがある。
この感覚です。
人生がうまくいかないと感じているとき、私たちは自分の内側だけを見やすくなります。
「自分には何が足りない?」
「自分は成功している?」
「自分には価値がある?」
そんな問いばかりになります。
そこで、少し視点を外へ向けてみます。
「誰とつながっている?」
「誰に助けてもらえる?」
「自分には何ができる?」
自分の価値を証明することから、他者とのつながりや協力へ視点を広げます。
一人で人生を完成させなくていい
「自立した大人にならなければ」と考えると、何でも自分一人で解決しなければならないように感じることがあります。
でも、人間は一人だけで生きているわけではありません。
わからなければ聞く。
困ったら相談する。
できないことは助けてもらう。
そして、自分にできるときには誰かを助ける。
そうした協力も、人生の一部です。
誰にも頼らないことだけが、自立ではありません。
「人生がうまくいかない」ときに考えたい7つの問い
1.具体的に、何がうまくいっていない?
「人生全部」ではなく、仕事、人間関係、お金、将来などに分けてみます。
2.私は誰と比べている?
友人、同僚、家族、SNSの人など、自分が使っている比較基準を確認します。
3.「うまくいっている人生」の基準は本当に自分のもの?
周囲や世間から借りた基準ではないかを考えてみます。
4.自分では変えられないことまで変えようとしていない?
他人の評価や過去など、自分だけでは動かせないものを整理します。
5.今の行動によって、何かを避けていない?
失敗、拒絶、恥、不安など、避けたいものがないか考えます。
6.今の自分でもできる一番小さなことは何?
人生を全部変えるのではなく、今日できる一歩を探します。
7.一人で抱えずに、誰かと協力できることはない?
相談することや助けを求めることも、選択肢に加えます。
「人生がうまくいっている人」にならなくてもいい
SNSを見ると、人生がすべて順調に進んでいるように見える人がいます。
仕事も成功。
恋愛も順調。
毎日楽しそう。
でも、外から見えるものだけで、その人の人生全部を知ることはできません。
そして、「人生がうまくいっているように見える人」になることを、自分のゴールにする必要もありません。
人生には、うまくいく時期もあります。
うまくいかない時期もあります。
迷う時期もあります。
立ち止まる時期もあります。
それらを含めて人生です。
幸福を「結果」だけで考えない
もし幸福が、
成功すること。
評価されること。
誰より上に行くこと。
欲しいものを全部手に入れること。
だけなら、幸福はとても不安定になります。
何かを失えば、不幸になる。
誰かに抜かれれば、不幸になる。
目標を達成できなければ、不幸になる。
アドラー心理学の共同体感覚から幸福を考えると、もう一つの視点が加わります。
自分がどこかに所属している。
人と協力できる。
自分にもできることがある。
そうした関係の中にも、人生の意味を見いだすことができます。
「何を手に入れたか」から「どう生きているか」へ
人生について考えるとき、私たちは「何を持っているか」を気にします。
収入。
肩書き。
家。
恋人。
友人。
才能。
でも、もう一つ問いがあります。
「自分は、どのように生きているだろう?」
失敗したときに、どう向き合うか。
他人が成功したときに、どう受け止めるか。
困ったときに、人と協力できるか。
自分で選べることについて、選択できているか。
人生の価値は、持っているものだけではなく、生き方そのものにもあります。
まとめ|人生がうまくいかないとき、人生全部を否定しなくていい
「人生がうまくいかない」
そう感じることがあります。
仕事で失敗した。
人間関係が苦しい。
周りと比べて焦る。
将来が見えない。
思っていた人生とは違う。
そんなとき、人生全体に大きな「失敗」の判定をつけたくなることがあります。
でも、本当に人生全部がうまくいっていないのでしょうか。
もしかすると、
今、仕事で困っている。
今、人間関係で悩んでいる。
今、自分の進みたい方向がわからない。
という、いくつかの具体的な課題があるだけかもしれません。
アドラー心理学から考えると、過去の出来事や環境から影響を受けながらも、それだけで未来のすべてが決まるわけではありません。
これまで使ってきた生き方のパターンに気づくこともできます。
自分の課題と他人の課題を整理することもできます。
劣等感を、自分を否定する理由ではなく、成長するためのヒントとして見ることもできます。
そして、自信がなくても、小さな一歩を選ぶことはできます。
もちろん、自分では変えられないこともあります。
努力だけでは解決しない問題もあります。
そんなときには、環境を変えること、誰かに相談すること、助けを求めることも選択肢です。
大切なのは、人生のすべてを一度に変えようとしないことです。
「人生をどうすればいい?」
という大きな問いの前に、
「今、自分が向き合っている課題は何だろう?」
と問い直してみる。
そして、
「その中で、自分にできる一番小さなことは何だろう?」
と考えてみる。
「哲学を学ぶことを、もっと日常に。」
人生がうまくいかないと感じたとき、すぐに「自分の人生は失敗だ」と結論を出す必要はありません。
今日はまだ、人生の途中です。
うまくいかなかった出来事があったとしても、それが人生全体の結論になるわけではありません。
今までと同じ方法を続けることもできます。
少し違う方法を試してみることもできます。
誰かと協力することもできます。
立ち止まることもできます。
そして、また動き出すこともできます。
人生がうまくいっているかどうかを、一度で判定するのではなく、
「ここから、自分はどう生きたいだろう?」
と問い続けてみる。
そこに、アドラー心理学から人生を考える一つのヒントがあります。